電磁波過敏症

論考「実験的経絡論」


第八章・奇経フィールドからの考察


 

1、奇経治療の先進性

奇経治療といっても、日本の鍼灸業界ではその評価はさまざまである。 いくつもの古典に関連記述があるとはいえ、経絡治療とは違って冷やや かな視線が向けられることが少なくないようである。

いやむしろ研究対象ということであればいくらかの関心は集まるかも知 れないが、普遍性を最も要求される実用性にはほど遠いというところで あろう。

そうした状況にあえて異論を唱えることが本論の主旨ではないが、経絡 認識や本来の古典解釈ということでは共通した日本独特の特殊性に繋が ることであるように思えてならない。

当方などは、中国本草学に情熱を傾けたあの十六世紀明代の大学者であ る李時珍がどうしてあれほど奇経八脈に関心を寄せたのかが当初より気 になって仕方がなかった。

「奇経八脈考」にみるように、李時珍は経絡系システム全体を俯瞰した 上であえて奇経八脈に関わる脈診や病症に注目したわけである。

そもそも何が李時珍をして奇経研究に向かわしめたかを知りたかったわ けである。ここらの展開は、現在にあっても多くの臨床家の共通の関心 を引く大きなテーマであるように考えるわけである。

とにかく、中国医学史上に現れた経絡の文献資料の記述を順次追ってい くと、次第に表面に浮上してくるような形で奇経八脈の認識が深められ てきたように評価できるはずである。

それは、臨床的裏付けへの努力がたゆまず続けられてきた歴史的証左と いうことができる。

それだけに、最初の奇経システムの発見に至る古代中国医学の卓越した 観察眼には驚愕せざるを得ないところである。とにかく、その複雑な経 絡の気血環流のシステムの中に別系統のエネルギー場を識別できたこと が何より驚きなのである。

同時にそれは間中理論や長友理論の科学的理論展開にもいえることであ るが、あらためてここらに古典解釈の多元性が問えてくるであろうし、 科学的視点から経絡系システム全体を見直すという姿勢も再認識される と考えるわけである。

しかしながら、経絡論などはさしずめ中国古典医学の基礎の基礎である。 日本の風土ではこうした基礎的領域の研究などは敬遠される部類の筆頭 にある。しかも経絡などといえばいわゆるアナクロニズム(時代錯誤) ではないかと嘲笑されよう。

経絡なる語彙が医学用語として通用しない現状から見れば、そうした極 論も一概に無視できないのではあるまいか。

奇経治療が華々しく展開するには臨床的実用性がまず強調されなくては ならない。早い話が、経絡治療がいまのようにもてはやされていなけれ ば経絡論の展開などそれこそ顰蹙をかう代物である。

そうした中で、奇経八脈が出てくるとなるとますます戴けないというこ とになる。当然、十二正経が経絡系のすべてではない。いや、十四経絡 といってもそれは同様であるし、さらに正経プラス奇経が経絡系システ ムのすべてというわけでもない。(表1参照)

経絡論や奇経八脈論に関心が集まらないのは、その実態が十分に解明さ れていないからであろうし、そうした議論や検討がなされる場も少ない からでもある。

勝手な解釈や思いこみで一方的に論じられるのもいただけないが、単な る心情論や思弁的教義の展開では普遍性どころか評価の対称にもならな い。

もはや、学術的な分野では我田引水や権威主義ですべてが通用する時代 ではないということである。そうした時代の趨勢からいくと、奇経論や 奇経治療こそはまさに最先端の思考実験が導入されるべきではないだろ うか。

ただ、奇経治療の評価がいま一つ盛り上がらないのは残念でならない。

同じ奇経治療でも、考え方や治療に繋がる判別法や術式に違いがあると いうことも一つの原因であろう。結局、習熟に至るのにいろいろな問題 点があるわけである。

諸説紛々で、個々の判別法がよく分からない。治療効果に当たりはずれ がある。効果自体は即効性があるがその持続性に問題がある。専用の鍼 があるといっても痛いというのもマイナスである。要するに奇経治療は いまだ完成したシステムとは言いがたいということになる。

実際の奇経治療ということでは、これまでにもいろいろな手法が検討さ れてきた。この部分だけをみれば、奇経治療というものの普遍性を高め るという意味では重要な位置を占めてきたということができる。

MP鍼やION-PUMPINGがそれである。少なくともそれらには 明確な科学的スタンスがある。古典情報である経絡システムに対してそ うした視点を持ち得うるきっかけをつくったのが、他ならぬ奇経治療が 最初ではなかったか。

先にも紹介したとおり、現在では奇経治療は別の形で注目されている。 治療のシステム自体は独特のパターン認識があるから、一つの独創的治 療法の足掛かりとしての位置づけはどうにか設定できる。だが、それか ら先の発想展開が複雑で難しいということなのである。

奇経病症診断ないしはそれに続く治療展開はいわゆる一発勝負である場 合が多い。再現性や普遍性ということでは多少の問題があるだけに、そ こにいくらかの熟練度が要求されるわけである。(注1)

そもそも、そうした奇経治療の特異な面をクリアできなくては臨床面で の煩雑さだけが際だってしまうのではないかというような考えも出てく る。

そうした中で、臨床面で日々奇経現象を見落とさないように注意してい たところ、偶然にも新しい展開が次々と出てきたのである。それらに関 連したいくつかの知見は前章で解説したとおりである

それらは、予想外のダイナミックな展開や新たな発想の展開への可能性 が問えるものである。

本章では二、三の症例を上げて当方の奇経治療に対する基本的考え方と 取り組み方について紹介してみたい。

2、奇経治療選択の蓋然性とは何か

先日、以前から見知っているある四十歳の男性患者から電話で相談があ ったのであるが、どうも話しの内容自体が錯綜していて要領を得ないも のであった。

判明した話しの概略はこうである。数日前ある外国の宗教団体の集会に 参加したのであるが、そこである種のイニシエーション(initia tion)のようなものを受けたという。

要は、手かざし、外気功に類似した波動療法を個別に受ける機会があっ たという特異な体験が絡んでいた。

そのときは、体に全く手も触れられていないのに下肢が勝手に動いたと いう。その直後から右足全体にビリビリした感覚が広がりだして、数日 たってもいまだに下半身の感覚がおかしいというのである。

ここで、あえてこのような症例を紹介するのは、このケースが生体共振 波動現象や奇経変動に直接関係しているからである。

実は、この患者は下半身が不自由で車椅子の生活を余儀なくされている。 腰椎骨折、左右足関節複雑骨折の後遺症ということで自分の足での起立 歩行はできない。両下肢の筋肉運動や股関節、膝関節の機能はほぼ正常 であるが、両方の足関節が手術後尖足位で固定されてしまっているため に松葉杖歩行は出来ない。

現在までリハビリに励んだ結果、水泳ができるまでに機能回復している し、左右の下肢の筋肉の萎縮も少ない状態に全体が保たれている。

ただ排泄機能が低下していて、浣腸といった薬物による排便ということ であった。

そうした身体的状況にある彼が、今回機会があってある種のイニシエー ションを受けたわけである。その結果、右下肢全体と肛門周囲のビリビ リした感覚と筋肉が引きつるような症状が出てきたというわけである

特に肛門脇におできが出来たような痛みを感じだしたのが気になるとい う。

結局そのような手かざし療法で、自分のような不快な身体反応が出るだ ろうかという唐突な質問であった。

手かざし療法で下肢にビリビリする感覚があり、不随的に下肢が動いた ということはその波動情報(信号)に下肢が感応したということである。 その感覚がしつこく残っているのであれば、その波動エネルギーが感応 した部位にそのまま取り込まれたことになる。(物理的エネルギー量の 増加によってそこに励起現象が生じた可能性がある。)

その波動が伝わってビリビリ感応したのは、その波動(気)エネルギー の質自体が非常に荒いものだからである。ここらは外気功療法を髣髴と させる事例なのかも知れない。(注2)

もとより、そのような身体反応は医学的には無視されるであろうし、一 般レベルの科学的因果関係は何ら成り立たないのはいうまでもない。症 状自体は突発的な座骨神経痛ということになろう。

患者自身はそういう事態になって精神的にもひどく困惑したようであっ たが、電話ではそれ以上のことは何とも説明しがたいものであった。

それから二日ほどして再度電話連絡があって、今度はビリビリ感と痙攣 様の疼痛(筋肉痛)が下半身に出始めたという。肛門周囲の不快な痛み もひどくなって夜間ほとんど眠れない状態だと訴える。

不眠状態になって、やっと三日目に憔悴しきった表情で車椅子で来院し てきた。

患者の話によると、直腸部周辺の痛みと下腹部の異状感から、直腸部に 便が溜まったためではないかと思って前述したような方法で排便してみ たが経過は少しも変わらないということであった。臀部皮膚面には特別 な変化はないが、自発痛が著明である。

この患者の場合、奇経八脈の変動パターンをみたところ帯脈と陽維脈( 胆経・三焦経)の変動であった。

それも奇経キャパシティーが満杯の状態である。これを風船にたとえる ならば、それこそぱんぱんに膨らんでいるというところである。

どうしてこのような状態になったかを考えたとき、やはり最初の波動エ ネルギーによるイニシエーションが起因しているであろう。

この患者のように、腰部や両下肢の骨折や軟部組織の損傷による傷跡が あるとどうしても経絡環流に支障が出やすく、損傷部を中心に経絡キャ パシティーに多少の制限が出ている場合が少なくない。

そうした身体的状態を無視して、外から一度に強い波動エネルギーを送 ると気の流れが詰まって滞ってしまうことになる。つまり、気の流れに 支障があるのに余分なエネルギーが一度に加えられると、経絡内の気の エネルギー環流は励起されてしまうわけである。

気の流れが滞れば活性酸素が過剰に産生されて、筋肉痛や疼痛の神経痛 様の症状が発生することになる。部分的に加速され過ぎたエネルギーは、 最初は奇経の調節機能が働いて溢れ出すが、これらは自然にそのまま体 外に逃げ出して消滅するわけではない。(注3)

この患者の場合は右の下肢全体と股関節から臀部にかけての奇経病症と いうことになる。患者は、筋肉が引きつるのに顔をしかめてしきりに苦 痛を訴える状態であったが、まずこれにどう対処するかは非常に難しい ところである。

通常の対症療法で日数をかけて少しづつ症状を取っていくか、奇経治療 で一度に溢れ出た邪気を取り除くかのどちらかである。これにはそれぞ れ一長一短があるところでもあるが、もとよりそこには奇経変動という 病態の認識がなければ意味をなさない部分である。

同時に、ここで実験的手法を考える上で通常の奇経治療で対応していこ うとしても、定量化ということでは有為性のあるデータは得られないの ではないかという危惧がある。

当然ここでは、痛みに苦しむ患者の症状を取ると同時に、可能なら数値 化したデータを引き出すことも考えなくてはならないというわけである。 こうした思案自体は以前から当方にはあったわけである。

この症例の場合は、右足・臨泣と左手・外関の奇経治療で短時間に好転 した。その後の経過良好であった。

実際のところ、このような突発的な奇経変動による個別の症例自体は定 量化した数値データを得るということでは再現性がない。唯一、奇経変 動に伴う病症と八総穴パターンとの相関関係を認知していくしかない。 一発で治癒に至ったにしてもこの再現性の問題がどこまでもネックにな るわけである。

それとここでは、治癒に至るプロセス全体に明確な蓋然性の提示が当然 問われてくる。つまり、どうしてこの症例では奇経治療を最初に選ぶの かという、治療法決定の問題である。

この症例自体は一回の奇経治療で症状が劇的に好転したのであるが、こ の場合も経過からみてすでに治癒する時期にきていたのではないかとか、 他の治療法でもよかったのではないかといういくつもの反駁が出てくる ということなのである。

結局、これは強いて奇経治療でなくてもよかったのではないかという相 対的評価に留まってしまうわけである。

3、奇経治療の再現性について

奇経治療での再現性ということを検討しなくてはならないと考えていた とき、幸いにもある一人の女性患者に遭遇した。これが一つの奇経実験 に繋がるきっかけであった。

この患者の奇経反応の特異性は各種の治療法を比較検証する上で非常に 興味深いデータを提示してくれただけでなく、長期間に渡って治療効果 を追試追跡することができた症例の一つでもあった。

そもそもの発端は、その患者に毎回奇経変動の反応が同じパターンで繰 り返し出現しているのを偶然発見したのが始まりであった。もちろんそ こには正経の変動も伴っていたわけであるが、奇経病証レベルで観察す るとより明瞭な病証の統合性が認められた。

とにかく毎回同様の変動が特定の奇経パターンに発現するケースであっ て、しかも短時間の奇経治療(一〇分間)で劇的に症状が好転するとい う症例であった。

その女性患者の年齢は三十代後半。未婚。職業(コンピューターのオペ レーター)。既往症(ネフローゼ、膠原病)。

やせ形。皮膚はやや浅黒い。脈は沈細微。肝虚・腎虚証。幼少時より虚 弱な体質である。コーヒー、タバコの嗜好あり。脊柱やや円背気味であ る。

症状は全身にわたる。首肩のこわばりと痛みで首が回わしにくい。上肢 痛。眼精疲労。全身倦怠。頭痛。食欲不振。吐き気。胃痛。便秘症。低 血圧症。腰背部痛。突然の膝関節痛。手指の皮膚疾患。下痢。冷え性。

これらの症状が毎回取っ替え引っ替え組み合わされて出てくる。

奇経では帯脈、陽維脈(胆経・三焦経)に変動あり。肩井、章門、帯脈、 胃愈、胆愈、維道、陽陵泉に圧痛がある。

これに対して八総穴の左手外関と右足臨泣を使い治療する。治療後主訴 はもとより諸症状が消退する。短時間の治療による効果に患者自身が不 思議だ不思議だと連発する。

治療前は顔色も悪く無口で不機嫌である(喋る元気がないという)が、 治療後はぺらぺらとよく喋るようになる。それまでの頭痛もすっかり治 まり気分が良くなったと笑顔になる。呼吸がし易く顔色も良くなって、 空腹感を覚えるという。

さらに奇経治療中は、まるで森林浴をしているような壮快感があって、 とても気持ちがよいという。

治療直後は、それまでの筋肉痛や関節部分の運動痛が無くなる。首を回 すのに支障がない。全身にあれほど疲労感があったのにウソのようだと いう。

週二回の間隔で治療するが、いつもこの調子である。大抵この奇経治療 だけで多くの症状がぬぐい去られたように取れてしまう。

(奇経)治療後半日から二十四時間は経過良好であるが、それ以上経過 すると調子が再び悪くなってくるとのこと。遠方からの通院のため、週 二回以上は来院出来ないという制約もあった。これに対して、治療効果 を持続させるためにダイオード貼付療法を併用することにする。

外関、臨泣両穴にそれぞれゲルマニウム・ダイオードを貼付する。その 結果、二日間ほど効果が安定持続するようになる。

ダイオード療法ということで、ここでゲルマニウムを選択的に使うのは ダイオード本体のジャンクション構造の電気抵抗が他のシリコンなどの 素材に比較してより小さいという特性があるからである。(図39参照 )

つまり、皮膚電圧自体が非常に低いのでこのジャンクション抵抗がより 小さい方が機能的には適しているのではないかと考えたわけである。

結局、ダイオード療法の原理というのは、電気物理学でいうところのフ ライホイール効果を最大限に活用したものだと解釈している。

ここで、このダイオードを使っての実際の治療手順を紹介する。

ダイオードを二ないし三個を並列に組み合わせたものを二セット作成す るが、このとき組み合わせる方向に注意する必要がある。極性を揃えて すべて並列に組む。逆向きに組み合わせてしまうとこの場合効果がない。 (図40参照)

これを対応する八総穴にそれぞれ貼付する。 本症例の場合、どうして もそれ以上の効果の持続が望めなかったので、ここで前章で紹介した当 方の電磁波中和装置を常時携帯してもらうことにした。

この患者の場合、コンピューター・オペレーターということで、OA機 器からの電磁波の曝露は日常的であるからこうした対応が必要と考えた わけである。その結果、一週間程度の期間はどうにか体調を維持できる ようになった。

生活環境といっても、実際は周囲を取り巻く波動環境ともいうべきもの であって、こうしたエネルギー場は少なからず生体に影響を与えている はずである。

無差別に波動エネルギーを受ける生体の側には経絡キャパシティーの個 体差があり、そこには自ずと許容量がある。

同じ波動環境に置かれても許容量の小さい者がまず変調を訴える。

当方考案の中和装置の携帯で波動効果が期待できるのであれば、奇経バ ランスの安定調節にこの装置が応用できるのではないかと考えて使って みることにした。

実際の方法はそれぞれの八総穴に密着させるような状態で中和装置を装 着して、十分間程そのまま保持するものである。(図41参照)

手法としてはそれだけでもよいし、他の治療法を同時に併用しても支障 はない。従来のいろいろな奇経調整法よりもずっと簡便である。

このようにして数カ月間その経過を観察してみると興味深い事実が判明 してきた。

それは、以前より食事がとれるようになって体重が増加してきたことで ある。それに従って体力も以前より付いた感じがするし、仕事を休まな くなったということであった。

身体的変化としては脊柱両側の筋肉群に柔軟性が出てきて圧痛が軽快し たことと、骨格全体の骨量(カルシウム代謝)がいくらか増えたのでは ないかということである。

これは手技操作時に脊柱全体の柔軟性が確認できると共に、椎間関節の 動きが随分と良くなっていることからも分かる身体的変化であった。( 注4)

こうした現象をどのように考えるかが、最も重要なポイントである。た った二カ所の手足の特定の経穴を使うだけで、何故多くの症状が消滅し てしまうのか。

奇経治療の効果として第一に上げられることは、筋肉や軟部組織の状態 が短時間に回復してくることである。それまで腫れたり緊張しきってい た筋肉に柔軟性が回復して圧痛が完全に、あるいはほとんど取れてしま う。

こうした効果によって、屈伸運動や回旋運動時の運動機能が連動して回 復してくるわけである。当初より表明しているように、これらの奇経調 整が不十分だと効果自体は短時間で元の状態にもどってしまうことがあ る。

さらに注目すべきことは、内臓機能に対する奇経治療の直接の効果であ る。

治療中の患者の様子を観察していると、腹部のぐる音がしきりに聞こえ てくる。これは内臓の機能が調整されて、低下していた機能が回復して くる直接の反応ということができる。

患者は治療後一様に身体全体の壮快感と空腹感を口にする。これは患部 の局所的血液循環が改善されたというより、身体的にはもっとレベルの 高い位置での機能的な調整作用(ホメオスターシス)が働いたように見 受けられる。そこには生体波動の正常周波数への復調と保持に繋がる働 きが考えられる。(表2参照)

やはりこれは、全身を巡る正経それ自体のバランス調整はもとより、幅 と厚みのある経筋システムの機能調整、さらには正経と内臓との環流調 整が統一的レベルでなされているということに他ならない。

ここにも経絡系システムの高次元の環流現象が問われてくる。確かに経 絡システムは存在しているのである。

しかもそこには、本来生体に備わっている整体システムの全体性という ことと、こうした機能が瞬時に働くシンクロニシティー(共時性)とい うことをあらためて考えなくてはならない展開になってくる。

手足の経穴を組み合わせただけの治療が、これほどの効果を及ぼすとい うことはまさに経絡の存在を確証づける第一歩ということになるのであ る。

そもそも、こうした解明作業が本論展開の目的の一つでもあったが、奇 経の特異性そのものが経絡追求の足掛かりになる理由も同時にここにあ るというわけである。

4、奇経実験の取り組み方

電磁波中和装置での奇経治療が可能であるとして先に触れたが、これに 関連する実験をいよいよここで紹介したい。

奇経システムについては前章で概略を示したが、これを実証する意味で も実験手法を提示することは非常に重要であると考える。

しかも、実験手法としてはより科学的に計測計量化する方法を取って、 できるだけデータとして定量化していくことが必要である。同時に当初 より強調しているシンクロニシティーについても明確なものにしていか なくてはならない。

しかしながら、これもまた周囲を見回してもそのような高価な計測機器 などはないことには変わりはないわけである。

奇経システムについての思考実験的理論(仮説)を示しながらその実験 的証明への手順が見つからないということになると、本論もここで手詰 まり進退窮まることになる。

古代中国医学にしてみれば何ら計測機器は持ち合わせてはいなかったに もかかわらず、奇経八脈そのものを発見し八総穴までもそこに特定し得 たわけである。

結果的には、数千年前の古典医学情報は絶えることなく現代にまで伝え られたことを考えると、ここは最も検討を加えなくてはならないところ でもある。

前章で奇経変動の反応出現時、奇経のキャパシティーが大きく張り出す という説明をした。この現象によって、奇経病証以外にも専用の奇経テ スターによっても八総穴の状態が把握できることになるというところで ある。

また同時に、当方の考案した電磁波中和装置を八総穴に装着して治療効 果が期待できることも紹介した。今回は、この当たりからいくつかの実 験的手法を新たに設定していきたいと考えている。

身体全体は三陰三陽、上下左右前後に区分できるとはいえ、奇経のエネ ルギー場の位相は特異なものである。しかも、経絡系全体のシステムか らみれば、前章で示した経絡システムの模式図のように非常に安定した バランス構造をしているはずである。

それは、すべて奇経の波動エネルギー場が相対的なエネルギー量を相殺 した位相で生体内に展開していることに関係している。この現象自体に は、すでにシンクロニシティーが働いていることを十分に認識しておか なくてはならない。

そのエネルギー場自体は少なくとも二つに分離した位置にあって、表面 的には無関係な隔絶した様相を呈している。つまり、片手と片足の各八 総穴が展開していることは、現代医学的にみれば何ら関連性のない身体 の上下の別々の位置に特定されているというだけのことである。

何らかの関連性があるとするならば、一体そこにどのような理屈が成り 立つであろうか。結局は、左右反対の手足の末端部分に特別な反応が同 時に現れるという現象を科学的にどう捉え得るかということになるわけ である。

おそらくこれに対しては現代医学的答えは出てこないのではないか。一 般論的神経反射ということではその範疇に入らない。

当方としては、鍼灸医学が物理療法領域の刺激理論や反射理論を学術的 にも金科玉条としていくことにはいささか疑問を持っているところであ る。鍼灸治療は単なる刺激療法とは考えてはいないということである。

生理学的にはそうした刺激理論は確かに存在するであろうが、実際の医 療現場では鍼より十数倍も太い注射針が日常的に使われているという事 実は揺るがしようがないわけである。それに対峙するような位置から微 細な鍼の刺激理論の展開はむしろ鍼灸の独自性に欠けるように考えるわ けである。

そもそも鍼灸医学の原典に示された治療の原理原則というものには刺激 理論に力点を置いた形で解説が成されているようには受け取れない。

やはり、微鍼や皮膚接触鍼に言及する「霊枢・九鍼十二原篇」の元で最 大限に機能するというのが鍼灸運用の原理原則であろう。(注5)

現代科学の最先端分野では、すべてが同じレベルで進歩発展しているわ けではない。個々の実験的手法が専門分野別にあるだけである。

医学実験には多くのハイテク機器が使われているが、当然そこには電子 工学的最先端の計測技術やセンサー技術が応用されている。特に、そう した高度の技術をバックで支えている理論そのものは量子物理学である 場合が少なくない。

こうなると、あらゆる現象を補足するということでは現代の量子物理学 は不可欠ということになる。つまり、量子物理学的手法を無視してはこ うした思考実験的論考は成り立たないということになる。

ここにおいて、その最先端分野の量子物理学的な観察眼を持ち込めばど うなるかを考えるといよいよ興味深い展開になってくるわけである。。

結局は、対峙するエネルギー場が生体内で四次元的にワープ(捻れ)し てしまった状態にあるのではないかという発想も持ち出してみたいわけ である。もとより当方はそのような見解も積極的に引き出したいと考え ているところである。

実際、そのように考えて理論的に設定すると、それによっていろいろな 矛盾が一掃されてくるわけである。

これとて単なる机上の空論でないことを照明するために実験的にもこの 当たりを明確にしておきたいと考えているし、前章の奇経システム理論 をここでも出来るだけ補足しておきたいわけである。

電磁波中和装置による応用自体は、八総穴の異状に伴う波動エネルギー 場の変動が体表面に存在しているということを理論的前提にして思い至 ったものである。

その結果、この中和装置を使用することによって、奇経の波動エネルギ ー場に直接干渉する、もしくはその過剰波動を中和してしまうという手 法を実際に検討してみたわけである。(図42参照) 

これとて、臨床例を全面に出してもあまりインパクトはないと考えた。 もとよりダイオードを始めいろいろな代用品があるからである。

実験測定には定量化、数値化ということが必要である。しかし、測定装 置ということでは前述したとおり、それらを用意することはまず不可能 である。それに、奇経反応をどのように数値化するかということに関し ても、それを満足させるような実験装置があるとはまず考えられない。

奇経システムなどと表現してきても、このままでは実態そのものは未確 認情報ということになってしまう。

5、奇経変動に対する基礎実験

このような事態に至って、一つのアイデアが頭に浮かんだのである。そ れは、治療室にある低周波治療器を測定器として活用したらどうかとい う発想が一瞬ひらめいたのである。

低周波治療器にはミリアンペアの通電量レベルに対応する電流計が付い ている。しかもゼロ・スタートの可変抵抗のボリューム・スイッチで出 力を自在にコントロールすることができる。

早速そのアイデアの内容を説明する。低周波電流も電流であるからその 流れには必ず電磁波が発生する。これはトリフィールド・メーターで測 定してすでに確認していることである。

しかも、低周波電流の生体通電刺激に対する感覚の閾値には幅があって、 そこに顕著な個体差があることが知られている。実際には、低周波電流 の電気刺激に敏感な人もあればひどく鈍感な人もいる。

これが奇経変動という状況下では、さらに生体エネルギーレベルでの干 渉作用が強く出てくるのではないかということで、一つの思考実験を設 定してみたわけである。

勿論、奇経変動が発現しているときの体調というのは良好な状態では決 してない。奇経病症に伴って、周囲の微弱な波動エネルギーの影響を受 けやすい不安定な状況に置かれているということになる。

今回は、そうした観点から奇経変動が強く出ている患者を対称にして、 低周波通電によるエネルギー干渉作用を実際に確認してみようと考えた わけである。

低周波電流から発生する電磁波は生体の波動エネルギーにも二次的に干 渉しているはずであるが、そのような些細な現象や変化は通常はまった く認識されていない。当然、このことについては物理療法のテキストに も触れられてはいないことである。

その反応自体は、低周波治療の電気刺激に対する閾値の変化として出て きているはずであ。つまり、物理的干渉を受ける分だけエネルギーのロ スがそこにはあることになる。その結果、干渉を受けて通電時の刺激閾 値が高くなる現象が出てくるはずである。

通常、ここらは皮膚面のインピーダンス(電気抵抗)の大きさというこ とですべて片づけられてしまっている。本当にそうであろうか。(注6 )

もちろん、皮膚面の電気抵抗は発汗状態や通電導子の導電性や保水性、 密着度といった設定条件が検討されなくてはならない。心電図検査や運 動負荷心電図、心除細動などの測定時の電極用ペーストの電気伝導性は そうした意味での物理的機能性が要求されているはずである。

こうした基本的疑問を説明してくれる電気生理学的基礎実験の情報がな いのであれば、これについても順次独自に実験していく必要がある。

そこで、実際に低周波通電時に奇経変動の出ている被験者に電磁波中和 装置をセットするとどうなるかということになる。もちろん通電時の電 流の強さは設定後、そのボリューム・スイッチや周波数設定を操作しな い限り変化しないものである。(図43参照)

ただ、通電時に導子を強く皮膚面に密着するような圧力を加えたり、逆 にその固定ベルトを緩めれば通電量は多少変化するはずである。ここら の低周波通電装置の操作上の一般的特性は十分読者諸氏に理解していた だけるものと考える。

つまり、ここで特に低周波通電という手法を取るということは、測定す る側からはその通電量を常時ミリアンペアメーターでモニターできると いう利点がある。

しかも、この際に通電感覚が伴うことによって、被験者の通電感覚(閾 値)と通電量との相関関係を比較することが可能である。

外部からのエネルギー波動による物理的干渉が生体レベルで作用してい るという事実確認ができれば、奇経変動の実態もより明確なものになっ てくる。

これが、今回の主目的であるデータの定量化・数値化を考慮した実験手 法なのであるが、当方としてはこれによって次のようないくつかの検証 作業を期待しているわけである。

  1. 通常の双方向性の低周波通電時、中和装置を健康な被験者の身体各部に 装着して電気刺激の閾値が変化するかどうかを確認する。(写真1参照 )
  2. 奇経変動が出ている被験者について同様の方法で閾値変化を比較検証す る。
  3. その際、中和装置の装着部位を八総穴にポイントを置いて、両者の変化 を比較検証してみる。
  4. 通電刺激の閾値変化が認められる場合その時間的変化を確認する。

今回こうした他項目にわたって実験検討するということであるが、各デ ータを個別に集積していくには相当の時間と労力が必要である。

だが、今回は幸いにも先に紹介した奇経反応が敏感な患者が介在するこ とによって、これらのいくつもの検討作業は効率よく進めていくことが できたのである。それも治療システムに組み込んだ形で進めていくこと ができるわけである。

まず最初の項目、(1)についてであるが、これには注目すべきデータ は何ら得られなかった。

  1. についても特別な変化はなかった。次の「(3)その際、中和装置の装 着部位を八総穴にポイントを置いて両者の変化を比較検証してみる。」 ということで中和装置をセットしてみたが、健康な被験者では通電閾値 の変化はまったく現れなかった。いくつもの奇経の組合せパターンで試 してみたが特別な変化はなかったのである。

先に紹介した奇経変動の出ている女性患者の両肩と腰部に低周波通電し ながら、身体各部に中和装置を置いてその変化を見たのであるが当初何 ら変化は見られなかった。 

ところが、その患者の特定の八総穴(左外関・右臨泣)に中和装置を一 個づつ密着セットすると、セットして0・五秒後、通電刺激の閾値がい きなり大きく下がる現象に遭遇したのである。

この場合、低周波治療器のボリュームスイッチ等をまったく操作しない にもかかわらず、いままでの通電刺激が急に強く感じられる状態になっ た。

中和装置を対応する各八総穴に密着させると通電刺激が許容範囲を超え た強さになり、装置を離すと元の通電刺激量に戻るわけである。

この操作によって、患者本人は「電気が強い、強過ぎる!」と、ボリュ ームを調節してくれるよう訴えた。一瞬にして苦痛を感じるほどに電気 刺激が強くなったわけである。(もちろんAmメータに変化はない。)

これは再現性があって、何度行っても同じ閾値変化が通電時に現れた。 しかも、この変化は対応する特定の八総穴パターンをポイントとしたと きだけに出現した。

対応しない他の八総穴パターンやポイントではこうした反応は全く現れ なかった。

この予想以上の変化出現に当方も驚かずにはいられなかった。低周波通 電時の生体反応という形で、はっきりと閾値変化が出たわけである。

低周波通電には明らかに電気的エネルギー場(A)が存在している。そ れに対して、生体側にも別のエネルギー場(B)が存在している。

実験では中和装置は(A)に対してその電気エネルギー量には全く変化 を与えないようである。中和装置自体、通常は(A)、(B)に対して 特別な干渉はしていないとみたわけである。もちろん、(A)は(B) に対して低周波電流という物理的な干渉(作用)があることになる。

ここまでは、思考実験的考察を進めていくことができるが、(B)が奇 経変動という状態になると状況が変わってくる。奇経変動によって(B )のエネルギーバランス状態そのものに変化が生じてくるわけである。

前章で解説したように奇経に変動が出たということは、生体の経絡環流 を主体とする生体エネルギー場(B)が奇経によるエネルギー干渉を受 けていることを意味する。

奇経変動に対して物理的に作用する中和装置を介在させると、それまで の(B)のエネルギーバランスが調節される。その結果(B)が(A) に干渉される物理的レベル状態が短時間で変動する。

実験項目の「(4)通電刺激の閾値変化が認められる場合その時間的変 化を確認する。」ということについても、再現性を確認しつつ計測する ことができた。

  1. の奇経調整と(A)の干渉作用の変化自体は短時間に反応がフィードバ ックされるわけだが、これは何度か試みた結果では通常は一秒はかから ない。〇・五秒というところであった。

この変動調整の早さからみると、(B)においては経絡環流レベルとい う個別の経絡反応ではなくて、生体のエネルギー場全体が迅速に対応し ているということが予想されるわけである。これがまさにシンクロニシ ティーということになる。

しかも、何度もこの実験を反復していくうちに、この時間的な間をおい た身体知覚反応には時間的遅速があることが分かった。当然といえば当 然のことであるが、その時の体調によって身体反応の反応時間は大きく 変化するという事実が確認できた。

これは外からの物理的作用に対する一つの生理的不応期が奇経変動の場 合にも存在しているということで興味深いことである。

つまり、体調が良いときほど反応速度が敏速になるし、風邪で体調を崩 したりより疲労感があるときは一、二秒ほど閾値変動の反応出現が遅れ るという計測結果が出たのである。

ここで注目すべきことは、こうした生体の気の環流に伴うエネルギー量 にそのものには、やはりある程度許容できる生理的幅があるのではない かということである。

要するに、体調によって経絡系全体のキャパシティー(エネルギー場) に変動があるということになる。結局、ここはそうしたキャパシティー 変動が伴うから、体調にも好不調が出てくるというわけである。

今回は、思考実験の確認とそれに関連する実験項目を検討するのに必要 な基礎的データをいくつか提示することができたと思う。

結果的には奇経変動の存在に関しての生体反応の補足と、さらには八総 穴との相関関係が電気的物理的条件の元で検証可能であることが判明し たわけである。

(注1)「医道の日本」六一六号 (異聞奇聞・一発勝負の話)宇田明 男 一九九五

(注2)気功には偏差という特異な副作用が突発的に生じる場合がある。     

(注3)「医道の日本」六二四号 (異聞奇聞・謎解きの話)宇田明男     一九九六

(注4)ここで、筋系、骨系の機能が高まるということは、奇経変動が 調整されることによって肝・腎の機能が調えられるということになる。 奇経システムにはそうした根元的様相がある。

(注5)「漢方の臨床」第三八巻八号・十号(東洋医学雑感)宇田明男     一九九一

(注6)「鍼灸トロポジー論文集・第五集情報信号系」(皮膚の電気的 特性について 山本辰馬・工博)(P32 )針灸トロポジー学武会編 一 九八九 

(9・4・23)



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発行日 1998年1月16日


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